新聞広告で見て気になって買った本。3月末読了。
2009年に47歳で亡くなったSiobhawn Dowdという作家の構想を、Patrick Nessが書き上げたもの。
ひとことで言うと、喪失への恐怖と、それを乗り越える物語。
13歳の少年コナーは、母親が病気の治療を始めてから、ある悪夢を見るようになる。
そしていつも決まって12:07に現れる、イチイの木の怪物。
怪物はコナーに3つの物語を語り、4つめはコナー自身が語れと言う。「真実の物語」を。
コナーの「真実」とは何か。
怪物が現れる「12:07」の意味は。
いちおう括りとしては児童書なのだけれど、なんとも重苦しい話。でもパワフルで引き込まれた。
コナーの祖母のキャラクターがなかなか斬新。車を運転し、仕事を持ってバリバリ働き、料理はしない。いわゆる子どもの物語に登場する「おばあちゃん」キャラとは違ってて新鮮。
かなりの勘違いだと思うのだけれど、怪物になんとなく父性、不在の父親の影を感じて萌えた。
コナーの父親は母親と別れ、アメリカで新しい家族と暮らしている。いじめっ子たち以外は、かつていちばん仲の良かった幼なじみも、出てくる先生たちも女性。
そんななかで、怪物だけが力強くコナーを責め、弄り、揺さぶる。
ちょっとした深読み&妄想。
装丁や挿絵も良い。日本語版のタイトルは「怪物はささやく」。おすすめです。
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