2009年10月1日木曜日

よしながふみ『大奥 第五巻』

よしながふみ『大奥』の第5巻を読んだ。

流行病によって男子の人口が激減し、それまで男子のものだった役割(将軍も!)をも女子が担うようになった江戸時代を舞台にしたお話。2009年手塚治虫マンガ賞マンガ大賞を受賞した作品

5代将軍綱吉(女)のお話の続き。
前の巻までの段階では、性的に享楽的で「江戸版サマンサ?!」ってかんじの奔放さとエロさ、プラスそこはかとない儚さが萌え~だった。

しかしここにきて、それが父によって幼いころから「(世継を産むために)男たちを悦ばせる存在であること」を求められた結果であることがわかる。

「徳川家の世継を産む」という重責を担い、それを必死に果たそうとしたのは家光も同じ。でも家光にはすべてを受け入れて愛し支えてくれる有功がいた。
支えとなる存在がなかった綱吉は、そこで肉体的な快楽を享受したり、男たちを悦ばせ時に溺れさせることで征服欲を満たして、その空虚を埋めようとしていたのかもしれない。
似た境遇にあった右衛門佐(家族から、貴重な「種馬」として高貴な姫たちを悦ばせることを求められた)ともっと早く分かり合えていたら、もう少し救われていたのかな、とか思うと切ない。

この巻のラスト、綱吉と、彼女とは正反対のお信(のちの8代将軍吉宗)の邂逅が面白い。

しばらく面白いマンガと出会えてなかったけれど、久々に続きが気になる作品。

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